日本は、世界に誇る長寿社会ですが、一方で老後資金は公的年金だけでは心もとないのが現状です。 そうした中で、安定収入が見込める不動産投資が注目されていますが、賃貸中の物件を入居者がいるままで売買することを居抜きといいます。  投資用の物件は、投資利回りといって、購入価額に対して家賃収入が何パーセント見込めるかが重要な指標になります。たとえば、3千万円購入した物件の月額賃料が10万円なら年間120万円、利回りは4%になります。

 通常、毎月いくらの家賃収入になるかは、相場は計算することができても、実際に借り手が見つかるまで分かりませんが、居抜き物件のメリットは、確実に家賃収入が計算できることです。物件購入後は、現在の契約者の家賃などの条件は、現状のまま引き継ぐことになります。

 一方、居抜き物件の購入で引き継ぐのは家賃の条件だけではありません。将来、退去した際の敷金返還の債務も引き継ぐのが原則です。  入居者は、前のオーナーではなく、現在のオーナーから敷金の返金を受けることになるので注意が必要です。  税法上、実際に支払うべき価額は売買契約の価額から、引き継ぐ敷金返還債務を引いた金額になります。  たとえば、購入金額3千万円の物件で、現在居住中の入居者の敷金が20万円なら、将来その人に返す20万円は預かっておくので、支払うのは2980万円です。  税法上の取引価額や入居者の条件を明確にするため、売買にあたっては、現在居住中の入居者の賃貸契約書を必ずもらっておきましょう。